Progress Note 筋トレ記録&プログラム管理

根拠と出典

最終更新日: 2026年9月7日(初版: 2026年9月6日)

記録を読むための目安には、研究で確かめられた部分と、まだ確かめられていない部分があります。このページでは、その境界と出典を示します。

1. この文書について

ここに載せるのは数値の根拠と限界です。計算方法・定義はアプリ内の「説明」にあります。根拠がある部分だけでなく、分かっていないことも記載します。

医学的な助言や、個人に合った運動量の処方ではありません。持病、痛み、体調の変化があるときは、表示された数値だけで判断せず医師にご相談ください。

自分の実施法と割合が違うと感じたら

アプリの「設定 › 集計 › 使用割合」から、種目ごとに確かめて変更できます。変更は過去の週の部位別集計にも反映されます。記録そのものは変わりません。

2. 使用割合はどう決めたか

出発点は ExRx.netの種目別の筋役割分類です。主働(Target)を1.0、協働(Synergists)を0.5、動的安定(Dynamic Stabilizers)を0.25に対応させています。これは筋電図の強さをそのまま割合にしたものではありません。

全128割当の最初の出どころは、二次資料であるExRxの分類です。PMIDが付く95割当は、ExRxとは独立の研究にも関与を支持する実測がある、という意味です。その研究を見て各値を決めたわけではありません。

静的な安定筋は原則として含めず、高負荷の等尺性の関与に文献支持がある場合などを補助として扱っています。拮抗安定筋と、アプリの部位分類にない筋は含めていません。

シーテッドケーブルローの脊柱起立筋は、腰を固定して引く実施法を既定として0.25にしています。以前は0.5でした。背中を丸めた位置から起こしながら引く実施法とは役割が異なるためで、文献が0.25という比率を実測したという意味ではありません。自分の実施法に応じて0.5へ戻せます。

3. 二つの軸 — 使うかどうかと、どれくらいか

筋電図の%MVICは、筋ごとにその筋自身の最大値で割った値です。筋どうしを並べて「一方が2倍働いた」とは読めません。関与の95割当を、比率の根拠に置き換えることはできません。

実測の多くは横断的な筋電図研究です。「測られた」ことは、筋肥大への寄与や適切なセット数まで確定したことを意味しません。

4. 0.5という段について

Pellandらのメタ回帰(67研究・2,058人)は、間接セットの数え方として1、0.5、0を比較し、0.5で数えるモデルを最も強く支持しました。レベルIに相当する統合研究による支持です。PMID 41343037

ただし0.5は、すべて数える方法と直接セットだけを数える方法の中点として置いた仮定でもあります。著者も、間接的な運動を一律に半セットと扱うことを限界に挙げています。

0.25は検証されていません。0.5という段を設けることには支持がありますが、個々の種目のどの筋を0.5にすべきかまで示す研究ではありません。

5. 全128割当の表

筋力トレーニング35種目の全128割当を載せています。有酸素運動は部位別セット数に含めません。A-1とA-2は重複しない128割当、B-1はその中の5割当を別の軸で示した表です。

横に長い表は、表の中を左右にスクロールして読めます。「実測あり」には近接する変種での測定を含み、注記で区別しています。

A-1 関与・実測あり — 95割当

種目 部位・割合 PMID 注記
ベンチプレス 胸 1.0 PMID 33239937 / PMID 25799093 / PMID 15903389
ベンチプレス 肩前 0.5 PMID 33239937 / PMID 25799093 / PMID 15903389
ベンチプレス 二頭 0.25 PMID 33239937 拮抗筋として測定
ベンチプレス 三頭 0.5 PMID 33239937 / PMID 25799093
ディップス 胸 1.0 PMID 36293792 / PMID 36361276 振幅正規化なし
ディップス 背中 0.5 PMID 36361276 本文に広背筋の実測値
ディップス 肩前 0.5 PMID 36361276
ディップス 三頭 0.5 PMID 36293792 / PMID 36361276 振幅正規化なし
バーベルシュラッグ 僧帽 1.0 PMID 12774999 片側シュラッグが上部僧帽で最大
ケーブルサイドレイズ 肩前 0.5 PMID 32824894 出典はダンベル
ケーブルサイドレイズ 肩中 1.0 PMID 32824894 出典はダンベル
ケーブルサイドレイズ 僧帽 0.5 PMID 32824894 出典はダンベル
ダンベルサイドレイズ 肩前 0.5 PMID 32824894
ダンベルサイドレイズ 肩中 1.0 PMID 32824894
ダンベルサイドレイズ 僧帽 0.5 PMID 32824894
リアデルトフライ 肩中 0.5 PMID 23302754 中部三角筋
リアデルトフライ 肩後 1.0 PMID 23302754 リバースフライマシン %MVIC
リアデルトフライ 僧帽 0.5 PMID 12774999 水平伸展+外旋。種目は完全一致ではない
スカルクラッシャー 三頭 1.0 PMID 28677940 臥位ダンベル肘伸展。長頭・外側頭
EZバーカール 二頭 1.0 PMID 30013836 EZバーカールを直接測定
EZバーカール 前腕 0.5 PMID 30013836 腕橈骨筋
ケーブルプレスダウン 三頭 1.0 PMID 32153422 三頭3頭を測定
オーバーヘッドエクステンション 三頭 1.0 PMID 28677940 頭上ダンベル肘伸展
レッグプレス 臀 0.5 PMID 33707987
レッグプレス 四頭 1.0 PMID 33707987
レッグプレス ハム 0.25 PMID 33707987
レッグプレス 下腿 0.5 PMID 33352879 ヒラメ筋・内外側腓腹筋
ルーマニアンデッドリフト 脊柱 0.25 PMID 32107499 SR
ルーマニアンデッドリフト 臀 1.0 PMID 31356511
ルーマニアンデッドリフト ハム 0.5 PMID 31356511 / PMID 38006325 / PMID 40085810 PMID 40085810はRCT(レベルII)
レッグエクステンション 四頭 1.0 PMID 33707987 / PMID 18975260
レッグカール ハム 1.0 PMID 38006325 5種目中H:Q比が最大
レッグカール 下腿 0.5 PMID 31469769 腹臥位レッグカール姿勢での等尺性のみ
カーフレイズ 下腿 1.0 PMID 33352879
ヒップスラスト 臀 1.0 PMID 31356511 / PMID 28151780
ヒップスラスト 四頭 0.5 PMID 31356511 外側広筋
ヒップスラスト ハム 0.25 PMID 31356511 / PMID 28151780 大腿二頭筋
バックエクステンション 脊柱 1.0 PMID 34027916 / PMID 25245250
バックエクステンション 臀 0.5 PMID 34027916 / PMID 25245250
バックエクステンション ハム 0.5 PMID 34027916 / PMID 25245250
インクラインベンチプレス 胸 1.0 PMID 25799093 / PMID 34644424 30°・45°で測定
インクラインベンチプレス 肩前 0.5 PMID 25799093
インクラインベンチプレス 三頭 0.5 PMID 25799093
ダンベルベンチプレス 胸 1.0 PMID 15903389 / PMID 26464884
ダンベルベンチプレス 肩前 0.5 PMID 15903389 / PMID 26464884
インクラインダンベルプレス 胸 1.0 PMID 26464884 大胸筋 胸肋部・鎖骨部
インクラインダンベルプレス 肩前 0.5 PMID 26464884
ケーブルフライ 胸 1.0 PMID 33239937 / PMID 15903389 出典はダンベルフライ
ケーブルフライ 二頭 0.25 PMID 33239937 ダンベルフライ。ベンチ比+57〜86%
懸垂 背中 1.0 PMID 21068680 / PMID 24245055
懸垂 僧帽 0.5 PMID 21068680 下部僧帽 45–56%MVIC
懸垂 二頭 0.5 PMID 21068680 / PMID 24245055
懸垂 三頭 0.25 PMID 24245055
懸垂 前腕 0.5 PMID 39716392 腕橈骨筋
ラットプルダウン 背中 1.0 PMID 19855327 / PMID 38689585 / PMID 24245055
ラットプルダウン 肩後 0.5 PMID 19855327 / PMID 38689585
ラットプルダウン 僧帽 0.5 PMID 38689585 中部僧帽
ラットプルダウン 二頭 0.5 PMID 19855327 / PMID 38689585
ラットプルダウン 三頭 0.25 PMID 38689585 / PMID 24245055
ベントオーバーローイング 背中 1.0 PMID 40513198 / PMID 19620925 PMID 40513198は腹臥位バーベルロー
ベントオーバーローイング 肩後 0.5 PMID 40513198
ベントオーバーローイング 僧帽 0.5 PMID 40513198 / PMID 19620925
ベントオーバーローイング 二頭 0.5 PMID 40513198
ベントオーバーローイング 脊柱 0.25 PMID 19620925 腰椎荷重・剛性が3種目中最大
シーテッドケーブルロー 背中 1.0 PMID 41562724
シーテッドケーブルロー 肩後 0.5 PMID 41562724
シーテッドケーブルロー 僧帽 0.5 PMID 41562724 上・中・下部
シーテッドケーブルロー 二頭 0.5 PMID 41562724
シーテッドケーブルロー 三頭 0.25 PMID 41562724
シーテッドケーブルロー 脊柱 0.25 PMID 41562724 関与の測定。腰を固定して引く実施法を既定とし、以前の0.5から変更。腰を起こしながら引く場合は種目ごとに変更できます。
ワンハンドダンベルロー 僧帽 0.5 PMID 22076101 one-arm row。僧帽上中下・前鋸筋
オーバーヘッドプレス 胸 0.5 PMID 35936912
オーバーヘッドプレス 肩前 1.0 PMID 35936912
オーバーヘッドプレス 肩中 0.5 PMID 35936912
オーバーヘッドプレス 僧帽 0.5 PMID 35936912 / PMID 36560129 上部僧帽
オーバーヘッドプレス 三頭 0.5 PMID 35936912
ダンベルショルダープレス 胸 0.5 PMID 26464884 大胸筋 胸肋部・鎖骨部
ダンベルショルダープレス 肩前 1.0 PMID 36560129 / PMID 26464884
ダンベルショルダープレス 僧帽 0.5 PMID 36560129 / PMID 26464884
スクワット 脊柱 0.25 PMID 33477561 longissimus・iliocostalis
スクワット 臀 0.5 PMID 33477561 大殿筋・中殿筋
スクワット 四頭 1.0 PMID 33477561 / PMID 18975260
スクワット ハム 0.25 PMID 18975260 / PMID 38006325
ブルガリアンスクワット 臀 0.5 PMID 40867012 大殿筋・中殿筋
ブルガリアンスクワット 四頭 1.0 PMID 40867012
ブルガリアンスクワット ハム 0.25 PMID 40867012 半腱様筋・大腿二頭筋
アブローラー 背中 0.5 PMID 16649890 広背筋が最高活動群
アブローラー 腹 1.0 PMID 16649890 上下腹直筋・内外腹斜筋
アブローラー 四頭 0.25 PMID 16649890 大腿直筋
デッドリフト 僧帽 0.25 PMID 40757518 僧帽横走部
デッドリフト 脊柱 0.25 PMID 32107499 / PMID 27893476 Snyder は ES ~73% で4筋中最高
デッドリフト 臀 1.0 PMID 32107499 / PMID 27893476
デッドリフト 四頭 0.5 PMID 32107499 / PMID 27893476
デッドリフト ハム 0.5 PMID 32107499 / PMID 27893476
デッドリフト 下腿 0.25 PMID 40757569 外側腓腹筋。等尺性3姿勢

A-2 関与・推定 — 33割当

参照した文献群で、その種目・筋を直接測定した資料を確認できなかった割当です。ExRxの分類を用いています。値が誤っていると確定した、という意味ではありません。

種目 部位・割合 なぜ推定か
インクラインベンチプレス 二頭 0.25 インクライン姿勢で二頭を測った研究が出ず
ダンベルベンチプレス 二頭 0.25 ダンベルベンチで三頭・二頭を測った研究が出ず
ダンベルベンチプレス 三頭 0.5 ダンベルベンチで三頭・二頭を測った研究が出ず
インクラインダンベルプレス 二頭 0.25 インクラインダンベルで三頭・二頭を測った研究が出ず
インクラインダンベルプレス 三頭 0.5 インクラインダンベルで三頭・二頭を測った研究が出ず
ケーブルフライ 背中 0.5 フライ中の広背筋を測った研究が出ず
懸垂 肩後 0.5 懸垂中の後部三角筋を測った研究が出ず
ラットプルダウン 前腕 0.5 プルダウン中の前腕筋を測った研究が出ず
ベントオーバーローイング 胸 0.5 ベントオーバーローで大胸筋・三頭・前腕を測った研究が出ず
ベントオーバーローイング 三頭 0.25 ベントオーバーローで大胸筋・三頭・前腕を測った研究が出ず
ベントオーバーローイング 前腕 0.5 ベントオーバーローで大胸筋・三頭・前腕を測った研究が出ず
シーテッドケーブルロー 胸 0.5 シーテッドローで大胸筋・前腕を測った研究が出ず
シーテッドケーブルロー 前腕 0.5 シーテッドローで大胸筋・前腕を測った研究が出ず
ワンハンドダンベルロー 胸 0.5 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
ワンハンドダンベルロー 背中 1.0 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
ワンハンドダンベルロー 肩後 0.5 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
ワンハンドダンベルロー 二頭 0.5 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
ワンハンドダンベルロー 三頭 0.25 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
ワンハンドダンベルロー 前腕 0.5 one-arm row で測られたのは僧帽群のみ
オーバーヘッドプレス 二頭 0.25 OHP で二頭を測った研究が出ず
ダンベルショルダープレス 肩中 0.5 ダンベルショルダープレスで中部三角筋・三頭・二頭を測った研究が出ず
ダンベルショルダープレス 二頭 0.25 ダンベルショルダープレスで中部三角筋・三頭・二頭を測った研究が出ず
ダンベルショルダープレス 三頭 0.5 ダンベルショルダープレスで中部三角筋・三頭・二頭を測った研究が出ず
スクワット 下腿 0.5 スクワット中の下腿三頭筋を測った研究が出ず
ブルガリアンスクワット 下腿 0.5 BSS で下腿を測った研究が出ず(PMID 40867012 は下腿未測定)
アブローラー 胸 0.5 ロールアウト中の大胸筋・後部三角筋を測った研究が出ず
アブローラー 肩後 0.5 ロールアウト中の大胸筋・後部三角筋を測った研究が出ず
デッドリフト 背中 0.25 デッドリフト中の広背筋を測った研究が出ず
インクラインダンベルカール 二頭 1.0 インクライン姿勢のカールを測った研究が出ず(Marcolin は立位・Coratella はケーブル)
インクラインダンベルカール 前腕 0.5 インクライン姿勢のカールを測った研究が出ず(Marcolin は立位・Coratella はケーブル)
ハンマーカール 二頭 0.5 ハンマーカールで腕橈骨筋を測った研究が出ず(最も近いのは Uysal 2026 のバーベル・ニュートラル握り)
ハンマーカール 前腕 1.0 ハンマーカールで腕橈骨筋を測った研究が出ず(最も近いのは Uysal 2026 のバーベル・ニュートラル握り)
ケーブルクランチ 腹 1.0 ケーブルクランチそのものを測った研究が出ず(クランチ一般は多数)

B-1 比率・介入研究との照合 — 5割当

種目 部位・割合 実測された比率・順序 PMID デザイン 実装との一致
ワンハンドダンベルロー 二頭 0.5 0.47 Mannarino 2021 (PMID 31268995) 同一個人の左右腕・無作為割付・8週・ボリューム統制。肘屈筋の筋厚 カール+11.06% 対 ロー+5.16%(p=0.009)。比 0.47 一致
ベンチプレス 胸 1.0 順序1位 Lanza 2024 (PMID 39593465) ベンチのみ10週・MRIでCSA。大胸筋 > 三頭・小胸筋(P≤0.030) 一致
ベンチプレス 三頭 0.5 0.5より低い可能性 Brandão 2020 (PMID 32149887) / Lanza 2024 (PMID 39593465) RCT n=43ではベンチ単独群の三頭全体の増加は有意ではなく、頭ごとに反応が異なる。別の10週MRI研究では三頭の増加も認め、大胸筋の増加がより大きかった。 不一致
ベンチプレス 肩前 0.5 順序2位群 Lanza 2024 (PMID 39593465) 前部三角筋は対照より増加。全筋 > 中部三角筋(P≤0.016)=アプリが肩中を持たないことと整合 一致
ルーマニアンデッドリフト ハム 0.5 0.5より高い可能性 Crawford 2025 (PMID 40085810) RCT n=32・6週。RDL と Nordic でハム横断面積の増加に群間差なし(P=0.60) 不一致

「一致」には、数値が近い場合と、筋の増加の順序が整合する場合があります。ワンハンドダンベルローの二頭では、カールとの筋厚増加の比が0.47でした。他のローや懸垂にも同じ比率が当てはまるとは限りません。

不一致2件の読み方

ベンチの三頭0.5は低い側への、RDLのハム0.5は高い側へのずれが示唆されますが、最適な置き換え値が確定したわけではありません。ベンチには三頭全体の有意な増加を認めなかった研究と、増加を認めた10週の研究があり、頭ごとの反応も異なります。1つの三頭キーではこの差を表せません。

RDLとノルディックハムの群間差が有意でなかったことも、完全に同等である証明ではありません。アプリの編集画面にも、この2件の研究結果について注記を置いています。既定値はどちらも0.5です。

6. 週のセット数の目安帯

下端の10は、Schoenfeldらの統合研究が週10セット以上の群を含めて用量反応を示したことによります。生のセット数を扱った研究であり、アプリの使用割合で換算した数に、そのまま同じ意味を与えることはできません。PMID 27433992

12〜20という範囲はBaz-Valleらのレビューにあります。大腿四頭筋と二頭筋を週2回に分けて鍛える条件での結論です。すべての筋・頻度に通用する上限20の一次的な証明ではありません。PMID 35291645

ACSMの2026年の声明も参照できます。そこで引用されるPellandらの抄録は、量を増やすほど効果の増分が小さくなることを示しますが、20という固定上限は述べていません。PMID 41843416PMID 41343037

分かっていないこと

全員に適用できる上限は定まっていません。10未満が無効、20を超えれば無効という境界でもありません。アプリの帯は記録を読む目安であり、安全性や最適量の判定ではありません。

7. 撤回された研究・採らなかった研究

上限を主張した次の2論文は撤回済みで、根拠として採用しません。撤回の状態を自分で確認できるよう、リンクは残しています。

同じ研究グループの種目選択の研究も、データ整合性を問題とする公開検討資料(Vigotskyら・プレプリント)があるため、本ページの根拠には採っていません。これを上の2本と同じ「撤回済み」とは扱いません。PMID 32252103

ここで用いるSchoenfeld、Baz-Valle、Pellandの主要な統合研究の結論は、この撤回2論文を根拠としていません。撤回された上限の主張と、量に応じた効果を示す統合研究は分けて読む必要があります。

8. 部位ごとの最適量は分かっていない

ACSMの2026年の声明は、利用できる証拠では別々の身体領域や筋群を比較していないと明記しています。PMID 41843416

分かっていないこと

三角筋と大腿四頭筋の最適量を同じ10〜20としてよい根拠も、別の数に変える根拠も確定していません。体格、経験、実施法、負荷、回復状態の違いを一律の帯では表現できません。

9. 推定消費カロリー

筋トレ中の6.0 METは、2024 Adult Compendiumのコード02050「ウェイトリフティング・きつい」に由来します。休憩の1.3 METはコード07021「静かに座る」に対応します。PMID 38242596

原表: 筋力トレーニングなど安静時の活動

有酸素運動には、同Compendiumの歩行走行自転車の種目と速度に対応した値を用います。計算方法はアプリ内の説明をご覧ください。

METは酸素摂取から求めた平均で、筋トレの嫌気性代謝や運動後の酸素消費を含みません。これらにより酸素摂取だけの推定を20〜50%上回る報告もありますが、一定の補正率ではありません。個人の実測値とは区別してください。

例えば高齢者10人の研究では、抵抗運動中123.9 kcalに対して運動後30分の消費が26.9 kcal(約22%)でした。別の12人の研究でも、運動中と回復期のどちらの酸素摂取を用いるかで推定が変わりました。この小標本の結果から、すべての人の誤差を20〜50%と保証することはできません。PMID 36638413PMID 24402448

10. 推定1RM

推定1RMはEpley式を使用します。アプリでは12回までを適用範囲とし、13回以上のセットからは推定1RMの点を作りません。これはアプリが設ける適用範囲で、12回までなら常に正確であることを保証するものではありません。

実際に1回だけ挙げた最大重量とは別の値です。疲労、実施法、種目の違いでも誤差が変わるため、推定1RMだけを理由に挙上重量を決めるための指示ではありません。

11. 体重の目標と適正帯

増量・減量・維持の帯は、個人の最適値を直接測ったものではありません。現在の数値と、その裏付けを次の表に分けて示します。

いまの値 文献が示すもの 出典 デザイン
増量 +0.25〜0.5%/週 数値はレビューの推奨と一致。ただし、この幅そのものを試した一次研究はない。至適な余剰エネルギー量も未検証。 Iraki 2019: PMID 31247944 / Slater 2019: PMID 31482093 ナラティブレビュー2本
増量の上限を切ること +0.25〜0.5%/週 速い増加は主に皮下脂肪を増やし、筋厚に群差はなかった。別の探索的研究の推定点は約0.55%/週だが、予測の説明力は低い。 Helms 2023: PMID 37914977 / Smith 2021: PMID 33919267 無作為割付・8週・17人完走 / 4成分モデル・21人
減量の下限 −0.5%/週 複数のレビューで0.5%/週付近が推奨される。ただしRobertsの推奨は0.5%以下であり、0.5〜1.0%全体への支持ではない。 Helms 2014: PMID 24864135 / Roberts 2020: PMID 32148575 / Ruiz-Castellano 2021: PMID 34579132 レビュー3本
減量の上限 −1.0%/週 この上限を支持する一次研究は確認できない。RCTが試したのは0.7%と1.4%。同じ著者を含む6年後のレビューは0.5%以下を推奨。メタ解析は500 kcal/日を超える赤字を避けるよう提言。 Garthe 2011: PMID 21558571 / Roberts 2020: PMID 32148575 / Murphy & Koehler 2022: PMID 34623696 RCT・24人 / レビュー / メタ解析・メタ回帰
維持 ±0.25%/週 出典なし。増量の下限を正負に当てた、アプリの構成上の値。

500 kcal/日の赤字は、全員の減量率を同じ%に換算できる境界ではありません。70 kgで1.0%/週を約770 kcal/日とみなす説明も、体重変化をすべて一定のエネルギー密度で換算した概算です。アプリは消費カロリーから減量率を決めていません。

同じ「Garthe 2011」に二つの研究

IJSNEM 21(2):97–104の本体RCTは、0.7%/週と1.4%/週を比較して、筋量・筋力を重視する場合に0.7%/週を推奨しています。1.0%を直接試した研究ではありません。PMID 21558571

同年同誌21(5):426–435の12か月追跡は、減量の速さが最も重要な因子ではないと結論しています。同じ「Garthe 2011」でも、両者の結論を一つにまとめることはできません。PMID 21896944

分かっていないこと

最適な速さは開始時の体脂肪率でも変わります。ISSNの声明は、体脂肪が高いほど大きな赤字を設定し得るとしています。一方でこのアプリの帯は体重だけから決まり、体脂肪率は反映しません。PMID 28630601

専門家団体の73文書をまとめたスコーピングレビューには、kg/週で示された推奨があり、文言が曖昧なことも指摘されています。アプリの%/週はIrakiやHelmsの書き方に合わせたもので、団体推奨の直訳ではありません。PMID 40841871

アプリの「設定 › 体重の目標」にも、同じ趣旨の注記を置いています。増量・減量・維持の判定値は現在の帯を保っています。